【年間で数十万円戻る人も】高額介護サービス費とは?所得区分別の上限額と申請方法をケアマネが解説
2026年5月時点の情報をもとに作成|特養ケアマネが解説
月の介護費が上限を超えた分は
後から戻ってきます
2割・3割負担の方は特に大きく戻ります。
住民税非課税世帯なら月24,600円、課税世帯一般なら月44,400円が上限。
超えた分は申請すればあとから払い戻しされます。
この記事でわかること
- 所得区分別の月額上限(24,600円〜140,100円)
- 特養入居中の方が戻る金額のシミュレーション
- 2割・3割負担の方の年間払い戻しイメージ
- 初回申請後は自動振込になる仕組み
- 負担限度額認定証との違いと併用方法
「介護費が高くて毎月の支払いがしんどい…」とお感じのご家族へ。月の介護サービス費が一定額を超えたら、超えた分は後から戻ってきます。これが「高額介護サービス費」です。
多くのご家族が「制度の存在を知らない」「通知書が届いても放置」というだけで損しているのが現実。一度申請しておけば、以後は対象月に自動的に振り込まれる仕組みです。
所得区分別の月額上限(早見表)
下の表が、月の介護サービス費自己負担の上限額です。この上限を超えた分が戻ります。
高額介護サービス費は「所得(住民税の課税状況・課税所得)」だけで判定されます。預貯金は関係ありません。
また、2割・3割負担の方も対象です(むしろ介護費が大きいぶん払い戻し額も大きくなります)。「2割3割負担だから対象外」というのはよくある誤解。預貯金が要件になるのは「食費・居住費」を軽減する負担限度額認定証のほうです。
| 所得区分 |
世帯の上限 (月額) |
個人の上限 (月額) |
課税所得690万円以上 (年収約1,160万円以上) |
140,100円 |
— |
課税所得380〜690万円 (年収約770〜1,160万円) |
93,000円 |
— |
課税所得145〜380万円 (年収約383〜770万円) |
44,400円 |
— |
| 住民税課税世帯(一般) |
44,400円 |
— |
| 世帯全員が住民税非課税 |
24,600円 |
— |
| 合計所得+年金 年80.9万円以下等 |
24,600円 |
15,000円 |
| 生活保護受給者等 |
— |
15,000円 |
※「世帯」は同じ世帯で介護保険サービスを使っている方全員の合計、「個人」は本人だけの自己負担分。低所得層は世帯と個人で別々に上限が設定されています。
戻る金額をシミュレーション
ケース1:要介護5・特養ユニット型・住民税非課税世帯(1割負担)
📊 月額の介護サービス費と払い戻し
介護サービス費(1割負担)28,650円
世帯上限24,600円
払い戻し(月)4,050円
年間払い戻し合計約 48,600円
ケース2:要介護5・特養ユニット型・住民税課税世帯(2割負担)
📊 月額の介護サービス費と払い戻し
介護サービス費(2割負担)57,300円
世帯上限44,400円
払い戻し(月)12,900円
年間払い戻し合計約 154,800円
ケース3:要介護5・特養ユニット型・住民税課税世帯(3割負担)
📊 月額の介護サービス費と払い戻し
介護サービス費(3割負担)85,950円
世帯上限44,400円
払い戻し(月)41,550円
年間払い戻し合計約 498,600円
3割負担の方の場合
年 約50万円
の払い戻しになることもあります。
申請せずに放置するのが一番もったいない制度です。
負担限度額認定証との違い・併用
「負担限度額認定証」と混同されやすいですが、対象となる費用が違います。両方を同時に申請して同時に使えます。
負担限度額認定証
対象:食費・居住費
仕組み:上限を下げて、最初から少ない金額しか請求されない
使い方:施設に提示
高額介護サービス費
対象:介護サービス費
仕組み:いったん払って、上限を超えた分が後から戻る
使い方:申請で口座振込
特養入居中の方は両方とも申請するのが基本。負担限度額認定証で食費・居住費を抑え、高額介護サービス費で介護費の超過分を取り戻す。これで月10万円規模の差になることがあります。
申請の流れ|「初回だけ」やればOK
1
市区町村から通知書が届く
対象になった月の数か月後(自治体により2〜4か月後)に「高額介護サービス費支給申請書」が郵送されます。これを放置すると申請しないまま終わりますので、届いたらすぐ手続きを。
2
申請書に振込口座を記入して返送
本人または家族の口座を記入して返送します。介護保険被保険者証のコピーが必要な場合もあります。初回のみの手続きです。
3
2回目以降は自動振込
登録した口座に、対象月があれば自動的に振り込まれます。毎月の申請は不要です。市区町村から「○月分支給します」という通知書が届きます。
申請の時効は2年です。サービス利用月の翌月初日から2年以内に申請しないと、その月分は戻ってこなくなります。
「いつかやろう」と通知書を放置しないでください。
注意:対象になる費用・ならない費用
対象になる費用
- 訪問介護・訪問看護・通所介護(デイサービス)の自己負担分
- ショートステイの自己負担分(介護サービス費部分)
- 特養・老健・介護医療院の自己負担分(介護サービス費部分)
対象にならない費用
- 食費・居住費(→これは負担限度額認定証で軽減)
- 日用品費・理美容代・差額ベッド代など
- 福祉用具購入費・住宅改修費(別の上限制度あり)
- 区分支給限度額を超えて使った全額自己負担分
- その他の自費サービス
特養に入居されている方の場合、「介護サービス費」と「食費・居住費」が請求書で分かれて記載されているか確認してください。介護サービス費だけが高額介護サービス費の集計対象です。
世帯合算でさらに大きく戻ることも
同じ世帯で複数人が介護サービスを使っている場合、全員の自己負担を合算して上限と比較します。
例:高齢のご夫婦で、夫が要介護5・特養入居(介護費月28,650円)、妻が要介護2・デイサービス(月15,000円)の場合。
世帯合計:43,650円
住民税非課税世帯の上限:24,600円
払い戻し:19,050円/月(年間228,600円)
「片方だけでは上限以下だけど、夫婦合わせると超える」というケースは多いです。世帯合算は自動的に行われるので、特別な申告は不要です。
よくある質問
高額介護サービス費はどんな費用が対象になりますか?
介護保険サービスの利用者負担分(1割・2割・3割)のみが対象です。食費・居住費・日用品費・福祉用具購入費・住宅改修費・その他の自費サービスは対象外です。特養の場合、月額の中で介護サービス費の部分だけが集計対象になります。
毎月申請が必要ですか?
いいえ、初回のみ申請が必要です。一度申請して口座を登録すれば、以後該当する月があれば自動的に同じ口座に振り込まれます。
1割負担でも対象になりますか?
なります。住民税非課税世帯は月24,600円が上限のため、要介護5・特養ユニット型なら月28,650円→4,050円が戻ります。年間で約4.8万円。1割負担でも所得が低い方は対象になり得ますし、2割・3割負担の方はさらに大きく戻ります。
負担限度額認定証との違いは何ですか?
負担限度額認定証は『食費・居住費』の上限を下げる制度。高額介護サービス費は『介護サービス費』の月額上限を超えた分を払い戻す制度です。対象費用が違うため、両方を同時に使うことができます。
申請しないと戻ってきませんか?
はい、初回申請が必要です。多くの自治体では、対象になった方に支給申請書を送ってくれますが、自動的にお金が戻るわけではありません。通知書を放置すると申請しないまま終わってしまうので、届いたら必ず手続きしてください。時効は2年です。
まとめ:通知書が届いたら、その日に申請を
高額介護サービス費は、2割・3割負担の方ほど大きく戻る制度です。1割負担でも住民税非課税世帯なら年5万円程度の払い戻しになります。
多くの方が「制度を知らない」または「通知書が届いても放置」しているのが現実。一度の申請で以後は自動振込になるので、家族でひとつの仕事として済ませてしまいましょう。
通知書が届いていない方は窓口に確認を
「高額介護サービス費の対象になっているか、
確認したいです」
市区町村の介護保険担当課に電話か窓口で確認できます。
過去2年分までは遡って申請できます。
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