特養ケアマネのブログ
特養で働くケアマネが、介護のお金と制度を正直に伝えます
2026年5月時点の情報をもとに作成|特養ケアマネが解説
同じ特養に同じ介護度で入っているのに
年間 約120万円
の差がついているケースがあります。
その差を生んでいるのが「負担限度額認定証」を申請したかどうかです。
申請しないと
月14万円
特養ユニット型・要介護4
(介護費1割負担込み)
申請すると
月8万円
同じ部屋・同じ介護度で
(介護費1割負担込み)
特養の入居相談を受けるとき、ご家族からよく聞かれるのが「毎月いくらかかるのか」です。施設のパンフレットには月14〜15万円と書いてあるけれど、知り合いに聞いたら8万円で済んでいると言う。どういうこと?
その違いを生んでいるのが、今回ご紹介する「介護保険負担限度額認定証」です。申請するかしないかだけで、月7万円・年間で80万円以上の差がつきます。要介護度や部屋タイプによっては年間100万円を超える差が出ることも珍しくありません。
下の表は、特養に入居したときの「介護サービス費(1割負担)+食費+居住費+日用品費」を全部合算した月額です。負担限度額認定証がない方(第4段階)の目安です。
| 介護度 | 多床室 | 従来型個室 | ユニット型個室 |
|---|---|---|---|
| 要介護3 | 約101,960円 | 約111,440円 | 約138,980円 |
| 要介護4 | 約104,060円 | 約113,540円 | 約141,110円 |
| 要介護5 | 約106,130円 | 約115,610円 | 約143,180円 |
※介護サービス費は1割負担で計算。食費・居住費・日用品費の合計目安(2026年5月現在)。地域加算や処遇改善加算は含めていません。
多床室でも月10万円超、ユニット型個室なら月14万円超。これが「申請しない」または「対象にならない」方の現実です。
一方、負担限度額認定証で「第2段階」に該当した方が同じ施設に入居した場合の月額がこちら。
📊 第2段階・要介護4・ユニット型個室の月額(介護費1割負担の場合)
※介護費が2割負担の方は約107,560円/月、3割負担の方は約134,140円/月になります。
同じユニット型個室、同じ要介護4でも、月60,130円も違います。これを年間にすると…
要介護4・ユニット型個室・第4段階 vs 第2段階
年 約72万円
の差。これは同じ部屋・同じ介護度で生まれる差です。
入居前面談で「奥さまは年金収入だけで預貯金もそれほど多くないので、ほぼ間違いなく第2段階です。すぐに申請してください」とお伝えしました。
ところが息子さんは「平日に役所に行くのは難しい」「通帳のコピー集めるのが面倒」と先延ばしに。気づけば1年が経過。その間、施設に支払った金額は申請していれば必要なかった分だけで約70万円。
申請は遡って適用されません。「あのとき申請しておけば」と頭を抱えるご家族を、これまで何人も見てきました。
負担限度額認定証は所得と預貯金の両方の要件を満たす必要があります。世帯全員が市町村民税非課税であることが大前提です。
居住費は部屋タイプによって変わります。
| 段階 | 多床室 | 従来型個室 | ユニット型 個室的多床室 |
ユニット型 個室 |
|---|---|---|---|---|
| 第1段階 | 0円 | 380円 | 550円 | 880円 |
| 第2段階 | 430円 | 480円 | 550円 | 880円 |
| 第3段階① | 430円 | 880円 | 1,370円 | 1,370円 |
| 第3段階② | 430円 | 880円 | 1,370円 | 1,370円 |
食費は部屋タイプに関係なく段階で決まります。
| 段階 | 食費(1日) | 月額目安(30日) |
|---|---|---|
| 第1段階 | 300円 | 9,000円 |
| 第2段階 | 390円 | 11,700円 |
| 第3段階① | 650円 | 19,500円 |
| 第3段階② | 1,360円 | 40,800円 |
※認定証なしの食費は1日約1,445円(月43,350円)。
📊 ケース1:要介護4・ユニット型個室・第2段階(介護費1割負担)
📊 ケース2:要介護5・多床室・第1段階(介護費1割負担)
📊 ケース3:要介護5・ユニット型個室・認定なし第4段階(介護費1割負担)
※すべて介護費1割負担で計算。介護保険負担割合証で「2割」「3割」と書かれている方は、介護サービス費が2倍・3倍になり、月額合計もその分加算されます。
同じ要介護5でも、ケース2とケース3では月額で約9万8千円・年間で117万円以上の差がつきます。これが「年100万円超の損」の正体です。
「夫が課税者だから世帯分離したら妻が対象になる?」という質問をよく受けます。配偶者については答えはNo。住民票上で世帯分離していても、配偶者の所得・預貯金は必ず合算判定されます(事実婚でも同じ)。
一方で、同居している子どもなど(配偶者以外の家族)の世帯分離は効果がある場合があります。同一世帯に課税者がいると対象外になりますが、子ども等を世帯分離して本人と配偶者だけの非課税世帯にできれば、要件を満たすケースがあります。「世帯分離した人がいる」という話の多くは、配偶者ではなく同居の子ども等を分離したケースです。
「いつも使っているメインの通帳だけ」と思っている方が多いですが、本人と配偶者の全口座が対象です。窓口では「他に口座はありませんね?」と必ず聞かれます。後から発覚すると認定取消もあり得ますので、すべて正直に申告してください。
認定証の有効期間は毎年7月末まで。多くの自治体で6〜7月に更新案内が届きます。施設に入居中の方は、施設の相談員が気づいてご家族に連絡することが多いので大きな見落としはあまりありません。
ただし、ご家族の元に届いた更新通知が見落とされたまま施設にも連絡が入っていない、というケースは時折あります。更新が遅れるとその月は通常料金に戻るため、6〜7月は意識しておくと安心です。
お住まいの市区町村の介護保険担当課に申請します。郵送でも受け付けてくれる自治体が多いです。
認定証の有効期間は1年(毎年7月末まで)。継続して使うには毎年更新申請が必要です。多くの自治体では更新時期に案内が届きますが、自動更新ではないので注意してください。
負担限度額認定証は、申請しなければ1円も戻ってきません。「対象になるかわからない」「面倒だ」「あとでやる」で先延ばしにすると、その間の差額(月数万円〜10万円超)はそのままご家族の負担になります。
1か月遅れれば数万円、1年遅れれば数十万円〜100万円が消えます。本日中に1本電話するだけで、損失を止めることができます。
介護保険被保険者証と通帳を手元に。
必要書類とご本人の段階の見込みを教えてもらえます。