特養ケアマネのブログ

特養で働くケアマネが、介護のお金と制度を正直に伝えます

名古屋市|65歳以上の方と介護家族へ

みんなが知らない、忘れがちな控除。要介護の親に使える名古屋市の障害者控除

2026年10月20日|名古屋市・国税庁の公式情報をもとに特養ケアマネが解説

障害者手帳がなくても

65歳以上で寝たきり・認知症などの状態なら、
税の控除を受けられる可能性があります。

ただし、要介護認定だけでは自動的に対象になりません。名古屋市への認定申請が必要です。

この記事でわかること

「親は要介護だけど、障害者手帳は持っていない。だから障害者控除は関係ない」

そう思っているご家族は少なくありません。ところが名古屋市では、65歳以上で、寝たきりや認知症など一定の状態にある方が、社会福祉事務所長の認定を受けることで、障害者手帳がなくても税の障害者控除を利用できる場合があります。

この制度は介護保険の要介護認定とは別です。要件に当てはまっていても自動では始まらないため、家族が知らないまま年末調整や確定申告を終えてしまうことがあります。

まずは3問|対象になる可能性は?
1

対象となる親御さんは、65歳以上ですか?

2

寝たきり・認知症、または身体や判断能力に一定の支障がありますか?

3

本人、同一生計の配偶者、または扶養している家族に所得税・市県民税がかかっていますか?

3つとも「はい」なら、区役所へ確認する価値があります。最終的な該当・非該当は名古屋市の審査で決まります。

2026年度に始まった新制度ではありません。名古屋市では昨年度以前から利用できる制度です。ただし、要介護認定を受けただけでは税に自動反映されず、本人や家族が「障害者控除対象者認定」を申請する必要があるため、長く介護をしているご家族にも見落とされやすくなっています。

先に結論|要介護でも「自動」ではありません

要介護1~5や要支援の認定を受けただけでは、税の障害者控除の対象にはなりません。

名古屋市の「障害者控除対象者認定」を申請し、障害者または特別障害者に準ずる状態だと認定される必要があります。介護保険と税では、認定の目的も基準も違うためです。

ここを間違えないでください

「要介護3だから障害者」「要介護5だから必ず特別障害者」という一律の対応ではありません。名古屋市も、介護保険の要介護・要支援認定を受けた方は対象になる場合があると案内していますが、個別に審査されます。

名古屋市で認定対象になる方

所得税または市・県民税を納める本人、その人の同一生計配偶者・扶養親族が65歳以上で、次のいずれかに該当し、社会福祉事務所長の認定を受けた場合が対象です。

認定区分名古屋市が示す状態
障害者知的障害者(軽度・中度)に準ずる方/身体障害者3級~6級に準ずる方
特別障害者知的障害者(重度)に準ずる方/身体障害者1・2級に準ずる方/6か月以上寝たきりで、食事・排泄などの日常生活に支障がある方など

身体障害に準ずる認定は、四肢の欠損や、ほとんど目が見えないなど、障害の程度が明らかな場合に対象となることがあります。認知症の診断名や要介護度だけで決まるのではなく、実際の心身の状態をもとに判定されます。

すでに身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳などによって障害者控除を受けられる方は、この認定申請は不要です。二重に控除される制度ではありません。

いくら控除される?所得税と市県民税の金額

障害者
所得税 27万円
市・県民税 26万円
同居特別障害者
(一定の家族)
所得税 75万円
市・県民税 53万円

「27万円戻る」わけではありません

上の金額は、納める税金からそのまま引かれる金額ではなく、税額を計算する前の所得から差し引く金額です。実際に税金がいくら軽くなるかは、控除を申告する方の所得・税率・ほかの控除などで変わります。

実際に税金はいくら減る?3つの具体例

名古屋市に住む家族が控除を申告する場合の、わかりやすい概算です。市民税・県民税の所得割は合計9.7%(名古屋市民税7.7%+愛知県民税2%)、所得税には復興特別所得税2.1%を加えて試算しています。

例1|一般の障害者

申告する家族の所得税率が5%の場合

所得税等:27万円 × 5% × 1.021 = 約13,800円
市・県民税:26万円 × 9.7% = 約25,200円

年間の減税額は、合計 約3万9,000円

例2|特別障害者

申告する家族の所得税率が5%の場合

所得税等:40万円 × 5% × 1.021 = 約20,400円
市・県民税:30万円 × 9.7% = 約29,100円

年間の減税額は、合計 約4万9,500円

例3|特別障害者

申告する家族の所得税率が10%の場合

所得税等:40万円 × 10% × 1.021 = 約40,800円
市・県民税:30万円 × 9.7% = 約29,100円

年間の減税額は、合計 約7万円

認定区分所得税率5%の目安所得税率10%の目安
障害者約3万9,000円約5万2,800円
特別障害者約4万9,500円約7万円
試算上の注意:これは控除額に税率を掛けた単純な概算です。課税所得が税率の境目をまたぐ場合、もともとの税額が少ない場合、調整控除やほかの税額控除がある場合などは、実際の減税額が異なります。住民税の均等割・森林環境税がこの控除によって同額減るという意味でもありません。

また、親御さん本人に課税所得がなく、扶養している家族も税法上の対象にならない場合などは、認定を受けても税負担が変わらないことがあります。誰の年末調整・確定申告で使うのかを先に確認しましょう。

減った税金で、家族そろって誕生日のお祝いへ

私がケアマネとして関わったご家族にも、この制度を知って申請された方がいました。

「せっかく戻ってきたお金だから、本人のために使いたくて」

そのご利用者は施設で生活されており、ご家族は仕事や家庭の都合をつけながら、定期的に面会へ来られていました。

障害者控除対象者認定についてお伝えしたところ、ご家族が区役所へ相談し、認定後に税の申告をされました。それまでより税負担が軽くなったと、後日うれしそうに教えてくださいました。

そして迎えたご利用者の誕生日。ご家族は、減税された分のお金を使ってご本人を施設から連れ出し、家族みんなで食事会を開かれました。

「家族で外食するのは久しぶりでした。本人もいつもよりたくさん食べて、昔の話をしてくれたんです」

戻ってきたお金を、そのまま生活費に充てることもできたはずです。それでも「本人と家族の時間に使いたい」と考えたご家族を見て、ケアマネとして、いいご家族だなあと心から思いました。

制度の説明をすると、どうしても「控除額はいくら」「申請書はどこへ出す」という話になりがちです。でも、その先にはこんな使い方もあります。税負担が少し軽くなったことで、諦めていた外出や食事の機会をつくれるかもしれません。

※ご本人・ご家族が特定されないよう、エピソードの本質を変えない範囲で、時期・会話・状況の一部を再構成しています。

特養に入居中の親も対象になる?

特養などの施設に入居していることだけを理由に、障害者控除の対象外になるわけではありません。親御さんが名古屋市の認定基準を満たし、税法上も本人・同一生計配偶者・扶養親族のいずれかに該当すれば利用できる可能性があります。

ただし、所得税75万円・市県民税53万円の「同居特別障害者」の控除は、同居を常況としていることが条件です。施設入居中の親については、通常の特別障害者控除になることもあるため、税務署または市税事務所へ確認してください。

申請から税の申告まで|4つの手順

  1. 対象者が住む区へ相談
    区役所福祉課または支所区民福祉課に「障害者控除対象者認定について確認したい」と伝えます。
  2. 認定申請をする
    窓口または名古屋市の電子申請サービスから申請します。申請内容をもとに市が審査します。
  3. 認定書を受け取る
    審査後、「障害者控除対象者認定書」または非該当通知書が郵送されます。
  4. 年末調整・確定申告などで使う
    認定書を、所得税の年末調整・確定申告または市・県民税の申告に使用します。所得税の確定申告をした場合、市・県民税について改めて申告する必要はありません。

窓口申請で必要なもの

本人確認書類には、運転免許証・マイナンバーカード・介護保険被保険者証などが例示されています。申請書と委任状は窓口で受け取るほか、名古屋市公式サイトからもダウンロードできます。

電子申請に必要なもの

区役所へ電話するときは、この一言で伝わります
「65歳以上で要介護認定を受けている親がいます。税の障害者控除対象者認定に該当するか確認したいです」

相談先:対象者がお住まいの区の区役所福祉課、または支所区民福祉課

一度認定されたら、毎年申請するの?

名古屋市は、障害事由に変更や消滅が生じない限り、認定書を次年度以降も使用できると案内しています。

毎年新しい認定書を取り直す制度ではありませんが、状態が変わった場合や、手元の認定書を紛失した場合は区役所へ確認してください。また、認定書を受け取っただけでは税に自動反映されません。年末調整や確定申告などで控除を申告する必要があります。

よくある質問

要介護認定を受けていれば対象ですか?
要介護認定だけでは自動的に対象になりません。名古屋市の社会福祉事務所長から、障害者または特別障害者に準ずる状態と認定される必要があります。
障害者手帳がなくても申請できますか?
はい。65歳以上で、名古屋市が定める心身の状態に該当する方は申請できます。すでに手帳などで障害者控除を受けられる方は、この認定申請は不要です。
認知症なら必ず対象ですか?
診断名だけで一律に決まるわけではありません。知的障害者に準ずる状態など、名古屋市の基準にもとづいて個別に審査されます。
認定されると27万円が戻りますか?
いいえ。27万円は所得から差し引く控除額です。実際に軽減される税額は、申告する方の所得や税率などによって変わります。
過去の年分も申告できますか?
過去分の認定や税の手続きが可能かは、対象年の状態や申告状況によって異なります。認定については区役所福祉課、所得税は税務署、市・県民税は市税事務所へご確認ください。

まとめ|年末調整・確定申告の前に一度確認を

要介護の親御さんが障害者手帳を持っていなくても、65歳以上で寝たきり・認知症など一定の状態にあれば、名古屋市の認定を受けて障害者控除を利用できる場合があります。

大切なのは、要介護認定だけでは自動的に始まらないことです。まずは対象者がお住まいの区の福祉課へ「障害者控除対象者認定」と伝えて確認してください。

公式情報・参考資料

関連記事