特養ケアマネのブログ

特養で働くケアマネが、介護のお金と制度を正直に伝えます

特養入居後の病院、どうする? – 家族・高齢者・医師のイラスト

特養に入居したあと、病院はどうなる?
ケアマネが現場目線で解説します

この記事でわかること

特養(特別養護老人ホーム)にご家族が入居されるとき、よく聞かれる質問があります。

「今までのかかりつけのお医者さんには、これからも診てもらえるんですか?」
「入院することになったら、誰が手続きするんですか?」

ケアマネとして10年近く特養で働いている中で、入居前のご家族から必ずと言っていいほどいただく質問です。今回はこのテーマを、現場目線でお伝えします。

入居後、かかりつけ医はどうなる?

基本は特養の嘱託医(しょくたくい)に変わる

特養に入居する際、多くの場合、今までのかかりつけ医から特養の嘱託医に主治医が変わります。

入居の手続きの中で、今までのかかりつけ医に「診療情報提供書」という書類を書いてもらい、それを特養の嘱託医に引き継ぐ流れになるのが一般的です。

「ずっと診てもらってきた先生だから、これからも続けたい」というお気持ちはよくわかります。ただ、特養に入居されたすべての方が今までのかかりつけ医に通院されるとなると、特養の職員や看護師が毎回送迎や付き添いをすることになり、現実的ではありません。

例外:難病など専門医にしか診られない場合

難病など、特定の専門医でないと診られない病気がある場合は、入居後もかかりつけ医を変えずに通院される方もいらっしゃいます。

ただし受診の方法(送迎の有無・付き添い)は、頻度や距離、時間によってご家族の協力が不可欠です。これは入居前から特養とよく相談しておくべきポイントです。

現場のケース 面会や外出のついでに、ご家族の車や介護タクシーで送迎し、ご家族が付き添って今までのかかりつけ医を続けている方もいらっしゃいます。ここはご家族の事情と協力次第です。

外部受診や入院のときは誰が対応する?

通常の外部受診は特養の看護師が同行することが多い

多くのご利用者は特養の嘱託医をかかりつけ医にされます。その医師から「精密検査が必要」と外部受診の指示が出たときは、特養の車で送迎し、付き添いも特養の看護師が行うことが一般的です。

ただし、積極的な治療をするかどうかの意向確認が必要な場面では、ご家族も病院に同行していただきます。これは医療的な決定をご家族にしていただく必要があるためです。

特養に入居したからといって、医療的な対応をすべて施設に任せられるわけではありません。施設のマンパワーには限界があります。
ただ、ある程度のことは施設で対応してくれるので、在宅介護よりは少し楽になる、というイメージです。

急変・入院時は家族の対応が必須

施設職員である看護師では、ご家族の代わりの判断や入院手続きができません。入院するような急変があったときは、必ずご家族が病院に行く必要があります。

特養に入居される方は高齢で、複数の病気を抱えている方が多いので、急変はいつでも起こり得ます。
忘れられないケース 昨日は笑顔で面会されていた方が、次の日に急に「頭が痛い」と倒れて、そのまま救急搬送された病院で亡くなった、ということもありました。

身元保証人になる人が、事前に準備しておくべきこと

家族間でバックアップ体制を決めておく

キーパーソン・身元保証人となるご家族は、「自分が動けないときに、代わりに対応できる人」をあらかじめ決めておくと、いざというとき困りません。

準備の良いキーパーソンの例 ・「家族旅行に行くときは、別の家族が対応します」と事前に施設へ伝えておく
・「海外旅行に行くので、この期間は弟に連絡してください」と毎年連絡してくる
・身元保証人が遠方に住んでいる場合、付き添い支援NPOを利用しておく

逆に、旅行先から慌てて救急病院に駆けつけられたご家族も、少ないですがいらっしゃいました。

遠方・親族不在の場合は身元保証サービスも選択肢

近くに頼れる家族がいない、身元保証人がそもそも遠方に住んでいる、というケースも増えています。

そういったときは、付き添い支援や、家族が到着するまでの家族代わりのサポートをしてくれるNPO法人や身元保証サービスを活用される方もいらっしゃいます。実際に施設でも「事前に契約しておいたおかげで助かった」というご家族の声を聞きます。

まとめ:施設に預けても、家族の役割はゼロにはならない

特養に入居していただくと、日々の介護や見守りはぐっと楽になります。ただし「医療的な判断」と「いざというときの対応」だけは、ご家族が担う必要があるということだけは、入居前にぜひ知っておいてください。

事前に家族間で話し合っておくこと、必要に応じて外部のサービスを活用すること。この2つができていると、ご本人もご家族も、安心して特養での生活を送ることができます。